大学体育学
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研究資料
留学生に対する大学体育実技の現状に関する調査研究
-授業展開における実態と課題を中心に-
出雲 輝彦木幡 日出男川北 準人
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ジャーナル オープンアクセス

2007 年 4 巻 p. 45-56

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抄録

本研究の目的は,各大学における留学生と日本人学生が混在する体育実技授業(以下,「混在授業」という.)の実態を把握かつ分析することにより,混在授業において教員が留意する必要のある授業展開上の課題について究明することであった.

予備調査として,私立T大学の混在授業担当教員3名に対してカード式BSを実施し,混在授業における問題点を抽出・分類するとともに,分析枠組構築及び実態調査票作成にあたっての指針を得た.実態調査Ⅰでは,83大学にアンケート調査を依頼し37大学から回答(大学回収率44.6%)を得た.実態調査Ⅱでは,私立T大学の混在授業受講学生に対してアンケート調査を依頼し117人(日本人学生82人,留学生35人)から回答を得た.

本研究により,1)留学生の混在率が高まるほど授業がやりにくくなること,2)日本人学生と留学生では体育レディネス(スポーツ経験他)に違いがあり,それにより混在授業がやりにくくなること,3)教員,日本人学生及び留学生の3者ともに混在授業を国際交流や異文化間コミュニケーションの機会として期待している傾向があることなどが明らかになった.したがって,混在授業を担当する教員は,授業展開する際,日本人学生と留学生の体育レディネスの違いに配慮すること,また,スポーツを通じた国際交流や異文化間コミュニケーションについても授業において配慮することが必要であることなどが示唆された.

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© 2007 全国大学体育連合
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