抄録
本研究の目的は、森尚水による日刊地域新聞「うらどっこ」の実践について、子どもの学びの視点から検討し、地域にねざした教育の意味を考察するものである。本研究で得られた知見は、つぎのとおりである。第1に、地域を教育活動に組み込むことにより、地域を生きる子どもの主体形成の課題として位置づけている。第2に、総合学習といえる実践のなかで、子どもの意見表明権を具体的な表現活動をとおして保障している。第3に、日常的な表現活動を重視し、そこにユーモアのもつ意味を組み込むことで、子どもに自由と安心をもたらしている。第4に、学習活動に生活指導を自然なかたちで組み込んでいる。第5に、子どもの意見表明権の保障を、授業づくりへの子どもの参加というレベルに一歩すすめている。