抄録
現在,X線CT装置は臨床現場において人体の内部組織の可視化装置として広く用いられている。そのため,教育現場では主に実機を用いた実習・教育を行っている。しかし,学生がCT装置の構成と画像再構成の原理を理解することは難しい課題の1つである。また,教育現場ではCT装置の構成システムと画像処理システムを組み合わせた簡便な教育用実験装置はほとんど見受けられない。そこで,筆者らは,レーザー光を用いた教育用模擬CT装置システムの構築について検討を行ってきた。今回,光ヘテロダイン干渉法を用いて散乱溶液をファントムとした装置を構築し,散乱溶液中の微少な透過直進光を検出し,模擬CT画像の取得を試みた。本システムは可視できるレーザー光を用いているため,実習する学生へのX線被曝を回避できるとともに,データ取得状況を目視で確認できることにより,CT装置の動作原理の理解を深める一助として,高い教育効果が期待できる。