日本保健科学学会誌
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在宅家族介護者の介護関連デイリー・ハッスルと介護放任傾向との関係
桐野 匡史中島 望松本 啓子李 志嬉岡部 一光中嶋 和夫
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2012 年 15 巻 2 号 p. 71-80

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抄録
本研究は,高齢者虐待の予防に向けた基礎資料を得ることをねらいに,在宅で高齢者を介護する家族を対象に,彼らの性差を考慮した上で,介護関連デイリー・ハッスルと介護放任傾向の関連性について検討することを目的とした。調査は,訪問看護ステーションを利用する家族介護者705名を対象とし,調査項目は要介護者の属性,家族介護者の属性,介護関連デイリー・ハッスル,介護放任傾向を使用した。回収された283名のデータのうち,上記項目に欠損値のない155名のデータを分析に使用した。構造方程式モデリングによるパス解析(多母集団同時解析)の結果,介護放任傾向に対して,男性介護者では「社会資源の活用困難」に対するストレス強度が正の関連性を,「時間的制約」に対するストレス強度が負の関連性を示した。一方で,女性介護者では「要介護者との関わり」に対するストレス強度が正の関連性を示した。このことから,介護放任傾向の予防には介護関連デイリー・ハッスルの軽減がある程度有用であるものの,その関係性は介護者の性別によって異なる可能性が示唆された。
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2012 日本保健科学学会
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