日本保健科学学会誌
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総合臨床実習を通した作業療法学生の高次脳機能障害に対する理解と困難さの質的検討
宮本 礼子大嶋 伸雄
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2012 年 15 巻 2 号 p. 101-107

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抄録

今回高次脳機能障害の理解に対する困難要因と理解のきっかけについて明らかにするため,総合臨床実習終了後の作業療法学科学生5名を対象に,FGIを実施した。その結果,理解促進因子として挙げられた,動機づけを伴った学習や指導者からのアドバイスに基づく実体験は,高次脳機能障害に限らず,総合臨床実習全般の肯定的効果と合致することが示唆された。一方で,学生は高次脳機能障害の理解の困難さが自己の知識や観察・技能不足に起因すると感じているが,その背景には事前の学習不足のみならず,高次脳機能障害自体の捉え難さがあることや,現場での対応状況を知らないことによる学習意欲の低下,現場でも介入の意図が観察からは明確にわからない,などの多面的な要因が存在していることが明らかとなった。

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2012 日本保健科学学会
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