日本保健科学学会誌
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マウス胚性幹細胞由来の神経幹細胞に対する増殖因子の効果
吉江 拓也大森 啓之大津 昌弘柴田 雅祥中山 孝井上 順雄
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2014 年 16 巻 4 号 p. 201-209

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抄録

神経幹細胞は自己複製能と多分化能をもつ未分化な細胞である。本研究では,マウス胚性幹(ES)細胞からNeural Stem Sphere(NSS)法により調製した神経幹細胞に対する,線維芽細胞増殖因子-2(FGF-2)と上皮増殖因子(EGF)の影響を解析した。FGF-2およびEGFは濃度依存的に神経幹細胞の増殖を促進した。FGF-2はEGFより神経幹細胞への親和性が低いが,細胞増殖能は高く,両者の効果は相加的ではなかった。FGF-2で増殖させた細胞は,EGFで増殖させた細胞と形態にわずかな相違はあったが,両者の間で神経幹細胞マーカー,FGFレセプターアイソフォーム,そして,EGFレセプターの各遺伝子のmRNA発現を指標とした神経幹細胞としての細胞学的特性においては相違がなかった。さらに,その細胞学的特性は,5継代培養しても維持され,NSS法で調製した神経幹細胞の均質性と優れた増殖性が確認された。

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2014 日本保健科学学会
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