日本保健科学学会誌
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入院時からの家族参加型自主練習が脳卒中片麻痺患者の在宅生活と家族の介護不安に及ぼす影響
平野 恵健池田 誠新田 收西尾 大祐皆川 知也木川 浩志
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2015 年 18 巻 1 号 p. 5-15

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抄録

本研究は,回復期リハビリテーション病棟入院時からの家族参加型自主練習の頻度が退院後の日常生活活動(ADL)能力や家族の介護不安に及ぼす影響について検証した。対象は,初回発症の脳卒中重度片麻痺患者で回復期リハビリテーション病棟の入院を経て,在宅復帰した22名およびその家族介護者とした。方法は,在宅復帰後1年以上が経過した対象者を後方視的および現状の評価をした。評価項目は,患者背景,移乗・移動能力,ADL能力,家族背景,家族の病状理解度,自主練習の介助習得度,介護不安感とした。分析方法は入院中の患者家族の自主練習の参加頻度から高頻度群と低頻度群の2群に分類し,各評価項目を比較した。結果は,退院時,退院後の時期における移乗・移動能力,ADL能力は2群間で有意な差を認めなかったが,高頻度群の移乗・移動能力は,退院時に比べて退院後の方が有意に高く,低頻度群のADL能力は,退院時に比べて退院後の方が有意に低かった。また,高頻度群は,退院時に比べて退院後のADL能力が向上しているものが有意に多かった。歩行の介助習得度は,高頻度群が低頻度群に比べて有意に高かった。以上から,高頻度の家族参加型の自主練習は,退院後の患者の活動を促進させ,退院後の在宅生活においても患者の自立度が維持された。患者家族において歩行介助技術の習得につながったが,病状理解度と介護不安感に関しては,その後の経過について明らかな影響を確認できなかった。

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2015 日本保健科学学会
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