日本保健科学学会誌
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開腹手術後高齢者の握力の継時的な変化
末永 裕代勝野 とわ子
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キーワード: 握力, 開腹手術, 高齢者
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2017 年 19 巻 4 号 p. 186-194

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抄録

本研究は,開腹手術後高齢者の継時的な握力の変化を明らかにすることを目的とした.研究デザインは,量的記述的デザインを用いた.対象者は,意思疎通可能で運動障害のない高齢者50 名(平均年齢72.8 ± 5.9 歳)であった.対象者の基本属性と入院時,術後5 日目,退院時の握力を経時的に測定した.データは,t 検定及び反復測定による分散分析などを用いて分析した.前期高齢者群と後期高齢者群の開腹手術後の握力を比較した結果,群間に有意差(p < 0.05)がみられた.さらに,握力の経時的な変化の特徴として,前期高齢者群は術後5 日目に低下し,退院時には回復していないことが示された.また,後期高齢者群の握力には,経時的な変化はみられなかったが,入院時から低値を示し日常生活を送ることも困難な虚弱な状態であった.以上のことから,医療機関の看護師は,開腹手術を受ける高齢者に対しては入院時から退院まで継続的に年齢や性別を考慮し,握力など客観的指標を用いながら筋力を評価し,その低下を予測し維持と回復を支援することが必要であることが示唆された.

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2017 日本保健科学学会
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