日本保健科学学会誌
Online ISSN : 2433-3018
Print ISSN : 1880-0211
ISSN-L : 1880-0211
膝内側側副靭帯と⾎管⽀配の⽐較解剖研究
Ke RenYidan Dai藤原 基⿊澤 弘⼀Zhidan Wang易 勤
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 21 巻 Supplement 号 p. 40

詳細
抄録
【背景・⽬的】内側側副靭帯と前⼗字靭帯と共に「不幸の三徴候」と呼ばれる複合損傷は臨床に⾼発⽣率の病態である.⼿術の温存治療において内側側副靭帯や半⽉板の⾎管⽀配と⾛⾏を理解することは⾮常に重要である⼀⽅,教科書的にはその栄養⾎管についてあいまいな点が多い.そこで本研究では動脈系と静脈系をそれぞれ⾚いと⻘い⾊素の注⼊標識された胎児ブタを⽤いて,膝の⾎管⽀配を解析し,特に半⽉板と側副靭帯と⾎管⽀配と⾛⾏について注⽬し,ヒトの⾎管⽀配との⽐較解剖研究を⾏う.【⽅法】胎児のブタ6 体(雄3 体,雌3 体,頭殿⻑50-60cm,12 側)を⽤いて,膝関節周辺の⾎管を注意しながら,側副靭帯と半⽉板の癒着を観察し,その⾎管分布と⾛⾏を解析した.【結果】外側半⽉板に分布する栄養⾎管は外側下膝動脈,前脛⾻筋動脈,外側上動脈からの枝が確認され,⾎管分布は2 つのパターンがあった.内側半⽉板に分布する⾎管は内側上膝動脈,内側下膝動脈,内側後節動脈からの枝が確認された.分布パターンは主に3 種類存在した.また,内側半⽉板と内側側副靭帯に癒着がみられなく,栄養⾎管がその間を通過し,半⽉板に⾄った.【結論】胎児ブタの内側側副靭帯と関節包と癒着しておらず,内側半⽉板の⾎管はその靭帯の裏を通っている点である.ヒトの内側半⽉板と内側側副靭帯の関係と⾎管⽀配の形態形成に参考になると考えられる.
著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top