抄録
【⽬的】当院は東京都港区の地域連携型認知症疾患医療センター(以下,センター)として,認知症介護者を対象に複数の専⾨職が講師を務め認知症介護⽀援実践講座(以下,介護講座)を⾏っている.そこで今回,介護講座の参加者における気分と感情,うつ症状,介護負担感の変化を調査した.【⽅法】対象は介護講座に参加した13 名(認知症介護者8 名,その他5 名)とした.介護講座は6つのテーマで構成され,講義と実技を取り⼊れて,4ヶ⽉間で計8回⾏った.即時効果は気分と感情のVisual Analogue Scale(気分感情VAS)6 項⽬(緊張,抑うつ,怒り,活気,疲労,混乱)を,短期効果は簡易抑うつ症状尺度⽇本語版(QIDS-SR)とZarit 介護負担尺度⽇本語版(J-ZBI)と短縮版(J-ZBI_8)を受講前後で実施した.本研究は,当院の臨床研究倫理審査委員会の承認後に実施した.【結果】気分感情VAS による即時効果は,認知症患者への接し⽅や基本動作の介助⽅法など実践の多いテーマで有意な改善(p<0.05,r>0.50)を認めた項⽬が多かったが,実践の少ないテーマでは改善効果が少なかった.QIDS-SR,J-ZBIとJ-ZBI_8による短期効果は,有意な変化を認めなかった.【結論】認知症介護⽀援を⽬的とした多職種での実践講座では,気分と感情の即時的改善を認めたが,うつ症状と介護負担感は⼤きな変化を認めなかった.