抄録
目的:ポジティブデビアンス(ポジデビ)手法は,集団内で課題を解決している人の行 動(ポジデビ行動)を特定し,その行動を基に集団全体の行動変容を促す手段として有効 である.しかし,ポジデビ手法を使った身体活動の促進に関する研究は,網羅的に調査さ れていない.本研究は,ポジデビ手法を用いた身体活動促進に関する先行研究の知見を統合し,研究の概要と介入研究の効果を明らかにすることを目的とした. 方法:2022 年 6 月までの期間で PubMed,CINAHL,Web of Science,医中誌に発表された原著論文から 検索し,適格基準を基に採択判定し概説した. 結果:対象となった 22 編は,肥満と身体 活動不足の課題を対象とし,その内 16 編は,個人や地域の郡レベルでのポジデビ行動を 特定した.6 編の介入研究は,個別支援を通して行動変容を強化したが,有効性の報告は 限定的であった. 結論:ポジデビ手法を身体活動促進に適応するためには,更なる研究の 累積が必要である.