日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第4回大会
セッションID: S2-9-1
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分子イメージング
ヒト分裂期染色体のプロテオーム解析
*内山 進小林 昇平高田 英昭石原 武中嶋 祥子林原 加代子曽根 岳史松永 幸大福井 希一
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抄録

細胞分裂期に観測される染色体の形成はDNAを均等かつ正確に娘細胞に分配するために必要で、生命維持には不可欠である。染色体が発見されてから100年以上経過しているが、その構造については未解明な部分が多く、特に高次構造形成メカニズムについてはほとんど分かっていない。本研究では染色体の構造と機能解明のため、異なる3種類の単離法によりヒト染色体を大量調製し、染色体を構成する成分を網羅的に同定し、染色体蛋白質のカタログ化を図ることを目的とした。解析を行った染色体は形態学や生化学において頻繁に使用されてきたポリアミン法により単離した染色体(PA染色体)、ショ糖密度勾配法によりPA染色体を更に精製した染色体(SG染色体)及び過去に最も精製度が高い報告されているパーコール密度勾配用遠心法を利用して精製した染色体(PG染色体)を解析に用いた。単離した染色体より抽出した蛋白質の分離は一次元SDS-PAGE、等電点(IEF)2次元電気泳動、およびRFHR2次元電気泳動法を用いて行った。CBB染色により得られたゲル像の画像解析により各蛋白質の定量を行った後、 質量分析によるタンパク質同定を行った。全体で300を超えるタンパク質の同定を完了した。PA染色体とSG染色体の比較プロテオーム解析から染色体構造に深く関わる蛋白質とミトコンドリア蛋白質などの単離過程で染色体に弱く結合した蛋白質を区別し、さらにPG染色体の解析結果と分裂期の局在情報に基づいて同定した染色体蛋白質を4つのグループに分類した。本発表では各グループに分類した蛋白質と染色体構造との関連についてこれまでに得られているデータをもとに報告する。
Uchiyama, et al., (2005) J. Biol. Chem. 280, 16994-17004.
Uchiyama, et al., (2004) Cytogenet. Genome Res. 107, 49-54.
Sone, T., et al., (2002) Arch. Histol. Cytol. 65, 445-455.

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© 2006 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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