日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第5回大会
セッションID: P2-34
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ポスター発表
内因性ぶどう膜炎における網膜抗原の二次元ウエスタンブロット法による網羅的解析
*奥貫 陽子臼井 嘉彦増子 佳世中村 洋遊道 和雄毛塚 剛司竹内 大臼井 正彦後藤  浩西岡  久寿樹加藤 智啓
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抄録
目的 内因性ぶどう膜炎による網膜組織障害で二次的に誘導される網膜抗原を網羅的に同定する。
方法 マウスを網膜視細胞間レチノイド結合蛋白由来ペプチド(IRBP-p)で強化免疫し、実験的自己免疫性ぶどう膜網膜炎(EAU)を発症させ、免疫後6週後に血清(EAU10例、アジュバントコントロール10例)を採取した。また、凍結融解法で抽出した正常マウス網膜抽出タンパクを二次元電気泳動法で展開した(1次元目泳動:11cm linear immobiline dry strip; GE healthcare bioscience、2次元目泳動:10%polyacrilamid gel)。両サンプルを用いて二次元ウエスタンブロット(2D-WB)を行い、EAU群で特異的に反応を示した蛋白を質量分析装置(MALDI-TOF MS、Ultra Flex II; Bruker Daltonics)で同定した。同定された蛋白のEAUにおける抗原性を1次元WBとELISAで再確認し、これらの抗原に対する自己抗体の有無をヒト内因性ぶどう膜炎(ベーチェット病(BD) 36例、サルコイドーシス(サ症)16例、原田病17例) においてELISA法を用いて検討した。
結果 2D-WBで7個のEAU特異的網膜抗原が選出され、そのうち1つは免疫に使用したIRBPであった。残り6個のうち、更に自己抗原候補をβ-actin、esteraseD (EsteD)、tubulin-β、creatin kinase brain type (BB-CK) の4個に絞り、EAUにおける抗体陽性率を1次元WBとELISAで再確認したところ、β-actin、EsteD、BB-CKの抗原性が確認された。これら3個のEAUにおける網膜抗原のうち、EsteDに対してはBD25%、原田病25%、BB-CKに対しては原田病25%、サ症38.4%の検体が抗体陽性であった。
結論 EAUによって誘導される網膜抗原の中には、ヒト内因性ぶどう膜炎においても抗原性があるものが存在した。内因性ぶどう膜炎の網膜組織障害で二次的に産生される自己抗原は、網膜特異的蛋白よりは、全身性に発現する発現量の多い蛋白に対して誘導されやすいことが示唆された。
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© 2007 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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