日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第5回大会
セッションID: P1-9
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ポスター発表
糖鎖特異的な磁性ビーズとLC-MALDIの組み合わせによるヒト血清中糖タンパク質のスクリーニング
*松山 由美子工藤 寿治韮澤 崇Katrin SparbierArndt AspergerIrina KesslerThomas WenzelMarkus Kostrzewa
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抄録

【目的】臨床プロテオミクス解析において、翻訳後修飾をうけた複雑で低含有率のタンパク質やペプチドを解析することは非常に困難とされており、そのためこのようなタンパク質やペプチドを直接解析することは、ほぼ不可能に近いとされている。また翻訳後修飾の中でも、糖鎖修飾は少なくとも50-80%の割合で起こり、これらのほとんどが特定の疾患と関係しているという報告もある。ヒトの血清には、このような糖タンパク質が多数含まれており、その数は数桁にものぼることが分かっている。そのため、血清から濃度の低い糖タンパク質を単離し、同定することを目的とした場合、それは非常に複雑なプロセスを必要とする。
 今回、血清中の糖タンパク質や糖ペプチドを選択的に濃縮、精製するために、レクチンクロマトグラフィーおよびBoronic acidへの共有結合を応用した磁性ビーズを前処理として用い、さらにLC-MALDIを組み合わせることで効率的に血清中の低含有量糖タンパク質を解析することを試みた。
【方法】磁性ビーズは、ConA、WGAのレクチンと、Boronic Acidの3種類を用い、各ビーズの標準プロトコルに従ってヒト血清からビーズ特異的な糖タンパク・糖ペプチドの濃縮を行った。それぞれのビーズから得られたサンプルをトリプシンにて消化後、LCで分画しMALDI-TOF/TOF MSにて測定・解析を行った。
【結果】レクチンやBoronic Acidのビーズを用いることで、それぞれに特異的な血清タンパクを選択的に濃縮でき、さらにヒト血清中に0.001 – 0.0001 g/lしか存在しないような糖タンパク質も検出および同定することができた。以上の結果より、磁性ビーズを用いた濃縮とその後のLC-MALDIの組み合わせにより、短時間で効率よく血清中の低含有量糖タンパク質を検出し同定することが可能となった。

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© 2007 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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