日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第7回大会
セッションID: S6-6
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プロテオミクスの医学への応用(その3) 疾患メカニズム解析
臨床研究に関する倫理指針とプロテオーム研究
*具嶋 弘
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抄録

平成17年4月に施行された「ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」(以下、ゲノム指針)においてヒトゲノム・遺伝子解析研究の主たる研究は生殖細胞系列変異、または多型を解析する研究であって、がん等の病変部位にのみ後天的に出現し、次世代には受け継がれないゲノム、または遺伝子の変異を対象とする体細胞変異を解析する研究、遺伝子発現に関する研究、タンパク質の構造、または機能に関する研究は対象外とされている。しかしながら、ゲノム指針の対象外とされたプロテオーム解析研究においても「臨床研究に関する倫理指針」は遵守しなければならない。また、研究において偶然にもSNP(Single Amino acid Polymorphism)を反映したアミノ酸配列が変化したペプチドが得られた場合には研究機関の倫理委員会に諮ったうえで保管、使用等を決定することとされた。 臨床研究に関する倫理指針は2008年7月に改訂され、2009年4月から改訂された指針が施行された。この指針の施行に伴い、厚労省より2008年12月に出された「臨床研究に関する倫理指針質疑応答集(Q&A)」によると観察研究を行う場合、「『手術等で切除された標本、毛髪・爪、喉頭うがい液、胎盤』は、患者の治療のための治療行為に随伴して切除されたものとして試料が採取されたものと考えられることから、『試料の採取が侵襲性を有しない場合』に該当すると考えられる」と説明されている。 研究にあたっては研究倫理や被験者保護に注意し、医療への貢献度の高い研究を行うことが重要である。本講演ではプロテオーム研究における倫理面の対応について、主に観察研究での試料の利用について議論してみたい。

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© 2009 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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