日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第7回大会
セッションID: S6-5
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プロテオミクスの医学への応用(その3) 疾患メカニズム解析
プロテオミクスの医学への応用(抗癌剤Gemcitabine感受性関連蛋白のプロテオーム解析による同定)
*藏滿 保宏岩本 早耶香田場 久美子藤本 正憲坂井田 功中村 和行
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抄録

【目的】膵癌は最も予後の悪い癌の一つで、発見時既に外科的切除不能であることが多く、有効な化学療法がない。Gemcitabine (GEM) は膵癌への単剤投与で最も有効な化学療法剤であるが、GEM抵抗性の膵癌が多いのが現状である。GEM感受性と抵抗性の膵癌株の細胞内蛋白質の発現を網羅的に比較解析してGEM抵抗性を規定する蛋白質を同定し、治療に応用することを目的とする。 【方法】GEM感受性膵癌株であるKLM1、AsPC-1、BxPC-3、MiaPaca-2、Panc-1と抵抗性株であるKLM1-R、PK45p、PK59細胞から蛋白質を抽出し、二次元電気泳動を用いて両細胞株の細胞内蛋白質の発現を比較した。発現に差のあるスポットをゲルから切り出して、質量分析計を用いて蛋白質を同定した。同定されたHSP27の発現をRNAiを用いてノックダウンしてGEM感受性の変化を調べた。また、HSP27の発現とGEM治療の患者の予後との関連性を調べた。 【結果】GEM感受性膵癌株と抵抗性株において、発現に差異のある細胞内蛋白質がいくつか同定され、そのうち一つのHSP27の発現をノックダウンしたところ、GEM感受性が大きく変化し、その蛋白質の患者膵癌組織での発現と予後とは大きく関連していた。

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© 2009 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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