日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第7回大会
セッションID: S8-2(P-75)
会議情報

プロテオミクスの農学への応用
リボソームタンパク質によるAPEOn分解Pseudomonas属細菌の迅速同定
*堀田 雄大寺本 華奈江佐藤 浩昭吉川 博道細田 晃文田村 廣人
著者情報
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録

非イオン系界面活性剤アルキルフェノールポリエトキシレート(APEOn)は、最も主要な農薬補助剤の一つである。APEOnは、環境中の細菌によって容易に分解され、その結果として生じるアルキルフェノール(AP)、アルキルフェノールモノエトキシレート、アルキルフェノールジエトキシレートのような分解産物(代謝毒性物)は、エストロゲンおよびアンチアンドロゲン活性を示すため、多くの研究は、分析およびモニタリング手法の発展に焦点が当てられている。APEOnをエストロゲン様物質に分解する細菌が、日本の水田中に普遍的に存在しているという事実は、APEOn分解菌の迅速・簡便なモニタリング手法を構築することの重要性を示している。 最近、MALDI-MSによって観察されたリボソームタンパク質が微生物同定のためのバイオマーカーとして用いられている。50以上のサブユニットタンパク質によって構成されているリボソームタンパク質分子量を、MALDI-MSによって測定し、プロテオームデータベースに登録されているリボソームタンパク質のアミノ酸配列からの算出された計算分子量と比較する。未処理の細胞由来リボソームタンパク質は、30分以内にMALDI-MSによって迅速に同定できるため、このアプローチは、非常に効果的な方法と言える。これまでの研究で、本方法により、Lactobacillus plantarum, Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus, Streptococcus thermophilusおよびPseudomonas putidaのような細菌が、同定されている。 本研究では、APEOn分解能を有するPseudomonas属細菌のDNAジャイレースBサブユニット(gyrB)配列決定およびMALDI-MS測定し、それらの結果を比較した。この発表で、著者らは、環境微生物に対するリボソームタンパク質をバイオマーカーとしたMALDI-MS同定法の有効性について議論する。

著者関連情報
© 2009 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
前の記事 次の記事
feedback
Top