日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第7回大会
セッションID: P-22
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ポスターセッション
質量分析を用いた血漿膵がんマーカーに対する多施設共同検証研究
*本田 一文尾野 雅哉廣橋 説雄山田 哲司
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抄録

膵がんは固形がんのなかでは、もっとも予後不良なもののひとつである。なぜならば早期膵がんは臨床症状が乏しく、進行がんの状態でなければ発見が困難であるからである。われわれは検診に応用できる膵がん診断法の開発を目的に、膵がん患者と健常者血漿のペプチドプロファイルを用いた新規血漿膵がんマーカーを開発し、その有用性を報告してきた(Honda K., Cancer Res. 2005, 65(22):10613-22)。今回われわれは、magnetic-bead-based hydrophobic-interaction chromatography (MBHIC) -MALDI-QqTOF-MS法による血漿検体測定法を開発し、以前報告したペプチドプロファイルが早期膵がん検診マーカーとして臨床応用が可能かどうかを検証した。本システムは血漿サンプルの脱塩処理からMALDIプレート上への添加まですべて自動に行えるように構築された。本法により検出できる質量範囲は1000-30,000 m/zで、標準血漿から検出できるピーク検出総数は2200本以上であり、実験再現性は相関係数が0.974-0.992、変動係数は0.0595-0.0373と良好であった。 本検出システムを使用し、他の目的で収集した血漿検体(n=318)を2つの独立した検証セットに分割し後向きに検証研究を行ったが、両検証セットでもAUC0.90以上で検証できることを証明した。さらに、実用化の可能性をさぐるため第3次対がん総合戦略研究事業「がん検診に有用な新しい腫瘍マーカーの開発」研究班が国内7臨床施設から前向きに収集した血漿検体(n=833)を用いて、診断精度の検証を試みている。 本研究は厚生労働省科学研究費補助金、第3次対がん総合戦略事業「がん検診に有用な新しい腫瘍マーカーの開発」により行われた研究である。

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© 2009 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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