日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第7回大会
セッションID: P-49
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ポスターセッション
前立腺癌細胞におけるアンドロゲン非依存性獲得機構に関与するリン酸化タンパク質の解析
*井野 洋子小池 里紗石黒 斉窪田 吉信荒川 憲昭平野 久
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抄録

前立腺癌のほとんどは男性ホルモン(アンドロゲン)依存性を示すため、アンドロゲン除去や抗アンドロゲン剤投与などの内分泌療法が有効である。しかし、内分泌療法を続けるうちに、アンドロゲン依存性を喪失した内分泌療法抵抗性癌へと進展することが大きな問題となっている。このアンドロゲン非依存的な増殖能の獲得機構にはいくつかの説が提唱されているものの、正確な機構は未だ不明なままにあることから、アンドロゲン非依存的な増殖能の獲得機構を解明することは、新たな診断法や治療法の開発に重要と考えられている。 タンパク質のリン酸化は、細胞内シグナル伝達経路の調節にかかわり、その異常はガンの発症・進展に密接に関与している。そこで本研究ではプロテオミクス手法を用いて、前立腺癌のアンドロゲン非依存的な増殖能の獲得に関与するリン酸化タンパク質を同定することを目的とした。 アンドロゲン依存性前立性腺癌細胞株であるLNCaP細胞を活性炭処理したウシ胎児血清(アンドロゲンフリーFBS)を用いて5ヶ月間培養することにより、アンドロゲン非依存性株LNCaP-AIを樹立した。アンドロゲンフリーFBSを用いて培養すると、親株LNCaP細胞においては全く増殖が認められないが、LNCaP-AI細胞においてはdoubling-time 約170時間で増殖することが観察された。ウエスタンブロット解析の結果、これまでに当該癌細胞のアンドロゲン非依存性獲得機構に関与すると考えられているアンドロゲンレセプターやBcl-2の増加は、今回作製したLNCaP-AI細胞においても確認された。さらにBAXの発現量の低下も認められた。このようなLNCaP-AIの細胞特性の獲得に関わるタンパク質のリン酸化を明らかにするために、LNCaP細胞およびLNCaP-AIの両細胞をアンドロゲンフリーFBSにて培養した時のリン酸化プロテオームの変動を、IMAC法を用いて比較したのでその詳細をここに報告する

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© 2009 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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