日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第7回大会
セッションID: P-55
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ポスターセッション
Nano-LC-MALDI-TOF/TOFによる同位体ラベルタンパク質の定量解析
*松山 由美子工藤 寿治韮澤 崇Stephanie HahnerAnja ResemannDetlev Suckau
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抄録

【目的】現在、定量プロテオーム解析を行うための標識試薬として、様々な試薬が存在している。しかしながら、これらの試薬はその定量結果が保証されているものではなく、得られたデータからどのように同定・定量解析を行うかが重要であり、解析方法や定量試薬との組み合わせによって結果が異なってくる場合も多い。今回、新しいICPL標識試薬とバイオインフォマティクスの解析ソフトウエアを組み合わせて、nano-LC-MALDIを用いたタンパク質の定量解析を行ったので、その結果について報告する。 【方法】標識試薬であるICPL (isotope coded protein labeling)を用いた安定同位体によるタンパク質の標識方法は、タンパク質を定量するうえで正確なラベリングが可能であり、新しいICPL 4-Plexは、一度の実験で4種類の異なるタンパク質サンプルを比較定量することができる。今回、濃度の異なる7つのタンパク質を含む2種類のサンプル(n=2、全4サンプル)を調製し、SERVA ICPL 4-Plexキットで標識を行った。ICPL標識したサンプルを混合しトリプシンで消化後、nano- HPLCで分離し直接MALDIターゲットにスポットした。その後MALDITOF/TOF MS測定を行い、得られたLC-MALDIデータからProteinScapeを用いてICPL標識ペプチドの定量値を算出した。 【結果】0.25から30の比で調製されたタンパク質はMS/MS解析により全て同定され、定量の精度はCV(変動係数) <10%であった。ProteinScapeでは、定量結果を含む同定されたタンパク質のリストを、複数のLC runであってもまとめることができ、最終的な同定・定量結果を表示することができた。さらにより正確な定量値を算出するために、quartile関数に基づいてアウトライヤーを検出し、ペプチドの統計表から、変動のあるタンパク質全体を正確に捉えることが可能であった。 このように、ICPL 4-plexキットとProteinScapeを組み合わせることで、より正確な定量結果を導き出すことができ、さらにnano-LC-MALDI法を用いることで定量プロテオミクスの有効な手法となることが示された。

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© 2009 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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