日本プロテオーム学会大会要旨集
日本ヒトプロテオーム機構第7回大会
セッションID: P-1
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ポスターセッション
全自動二次元電気泳動装置を用いた新規タンパク質蛍光染色試薬の性能評価
*坂口 菜央鈴木 祥夫平塚 淳典横山 憲二
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抄録

二次元電気泳動(Two-dimensional electrophoresis(2DE))法は、タンパク質を等電点と分子量で分離する方法である。この方法は、数百~数千のタンパク質スポットを高分解能で検出可能であり、高感度でタンパク質を検出することが可能な蛍光タンパク質染色色素が用いられている。しかし既存の蛍光染色試薬は、染色時間が長い、タンパク質の種類によって染色効率が異なる、コストが高いなどの問題があった。
これまでに演者らは、非共有結合によりタンパク質と相互作用する蛍光試薬の開発を行ってきた。その中で、スチリル基とシアノピラニル基を併せ持つタンパク質染色試薬を評価した結果、バックグランド蛍光強度が低く、タンパク質濃度と蛍光強度との間に良好な比例関係が得られた。また異なるタンパク質種間の検量線の変動が小さく、色素同士の結合による測定誤差も検出されなかった。
本研究では、上記試薬を基に開発され、現在市販中のタンパク質染色試薬(Rapid FluoroStain KANTO(RFK) 関東化学製)を用いて2DE後のゲルのタンパク質スポット染色を行い、既存の染色試薬と比較した。2DEに関しては、演者ら開発した全自動二次元電気泳動装置を使用して行った。
20μgのマウス肝臓可溶性タンパク質を、全自動二次元電気泳動装置を用いて分離した。得られた2DE後のゲル中のタンパク質をSYPRO Ruby(インビトロジェン製)、Deep purple(GEヘルスケア製)およびRFKを用いて染色した。各染色試薬はそれぞれの標準の方法で染色した。染色に必要な時間は、SYPRO Rubyで約17時間、Deep purpleで17時間、RFKでは90分間であり、RFKが最も染色時間が短い。また任意に選び出した11スポットのそれぞれのタンパク質のスポット強度/バックグラウンド強度比を二次元電気泳動画像解析ソフト(ProFINDER、Perkin Elmer製)で比較した。その結果、強度比の高い順にDeep purple>RFK>SYPRO Rubyが得られ2DE用ゲル染色試薬として通常最も良く利用されているSYPRO Rubyより高感度に検出が可能となった。

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© 2009 日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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