生理活性タンパク質を体液や組織から精製する事は困難な作業であり、通常は膨大な試料と多段階の精製工程が必要となる。我々は簡便な方法として、クロマトグラフィーにより部分精製した試料をLC/MS/MSで分析し、各画分における生理活性とタンパク質同定スコアとの相関により生理活性タンパク質の候補を探索する事を試みた。間質性膀胱炎患者尿中に見出したserum response element活性を指標に、弱アニオン交換・逆相の2段階のカラムクロマトグラフィーによる精製を行い、活性ピーク近傍の画分のタンパク質を分析した。その結果、活性とタンパク質同定スコアとの相関が最も高いタンパク質としてEGFが見出され、リコンビナントEGF、抗EGF抗体、抗EGFレセプター抗体を用いて活性タンパク質である事を確認した。本法により20mlの尿試料から2段階のクロマトグラフィーにより目的とする活性タンパク質を簡便に同定できた。