抄録
胃癌は現在、日本における年間死者数が約5万人であり、臓器別癌死亡者数の第2位を占めている。また、その中でも特にスキルス胃癌のように予後不良なタイプを早期に発見することは重要な課題である。そこで本研究では胃癌の低侵襲な早期診断法の確立を目指し、ClinProtTM System (Bruker Daltonics社)を用いたMALDI-TOF MS profilingによって血清のペプチドーム解析を行い、胃癌の血中バイオマーカーを探索した。
検体は君津中央病院において手術が施行された胃癌患者84症例の術前後のペア血清、および正常人コントロール検体84人分の血清を使用した。磁気ビーズはWCX、IMAC-Cu (Bruker Daltonics社)の2種類を使用し、マトリックスにはCHCA(&alpha-cyano-4-hydroxycinnamic acid)を用いた。ビーズ処理およびAnchorChip Target plateへのスポッティングにはClinProtRobotを使用した。測定およびデータの解析にはautoflexII TOF/TOF MSおよびClinProTools ver.2.1を用いた。
解析の結果、複数のピークを診断マーカー候補として検出することが出来た。本発表ではその詳細を報告する予定である。