抄録
子どもの貧困とは、経済的困窮と社会的排除によってもたらされる子どもの幸福を追求する自由の欠如・権利の不全と定義できる。この定義を踏まえ、北九州市においてNPOが取り組んでいる学習支援事業での支援記録、アセスメントデータを基にした分析から、子どもと保護者への支援効果が連動して変化することを明らかにし、子どもと保護者を一体的に世帯支援することの必要性を示した。この分析結果から、政府が閣議決定した「子供の貧困対策大綱」の内容を検討し、「できること」を前提としたような保護者への「自立助長」的な支援内容では、脱貧困を目指した学習支援が効果を挙げることは困難であるという政策的課題について明らかにした。