医療福祉政策研究
Online ISSN : 2433-6858
終末期在宅療養者に対する家族介護者による投薬管理上の課題と支援ニーズの探究
国内外の文献をてがかりとして
大釜 信政中筋 直哉
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 8 巻 1 号 p. 55-74

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抄録
本研究の目的は、家族介護者による投薬管理上の課題や必要とされている支援を国内外の文献から抽出し、終末期在宅療養者にとって安全で効果的な投薬管理を家族介護者が実践するための支援の要点に関して示唆を得ることである。方法として、PubMedと医中誌Webを用いて文献検索を行い、終末期療養者に対する家族介護者による投薬管理上の課題や支援ニーズが示された原著論文を選定した。結果として、国外21編、国内2編、合計23編の原著論文を分析し、【家族介護者のスキル不足】【多様な障壁】【療養者の心身の状況が与える影響】【親族間の意見の相違】【不十分な専門サポート】【家族介護者が抱える多大な負担】といった課題が明らかになった。家族介護者によ る投薬管理の現状から求められる支援として、【スキルを向上させるための指導】【システムやガイドラインの整備】【療養者と家族介護者にとって最適な薬剤処方】【コミュニケーションの促進】【家族介護者の全体像を捉えた支援】【必要性に応じて公的支援を追加】【専門職者としての基本姿勢】を必要としていることが判明した。結論として、終末期在宅療養者にとって安全で効果的な投薬管理を家族介護者が実践するために、医療専門職者による十分な指導が求められている。適時かつ適切な投薬管理を支援するためのシステムの構築やガイドラインの整備が必要である。療養者と家族介護者にとって、最適な薬剤処方も求められている。専門職者は、家族介護者との信頼関係を確立し、療養者や家族介護者の生活上の希望に寄り添う姿勢をもつことが肝要である。
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