イメージ心理学研究
Online ISSN : 2434-3595
Print ISSN : 1349-1903
原著論文
自閉症スペクトラム障害の特性と夢の感覚および 感情に関する予備的研究
松田 英子松岡 和生岡田 斉
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2022 年 19 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

自閉症スペクトラム障害と夢の特性に関する研究は,海外では夢の情動やテーマからの分析が主であるが,日本における報告はほとんどない。またDSM-5 にて,自閉症スペクトラム障害の診断基準に新たに感覚異常が加わり,今後自閉症スペクトラム障害の感覚特性と夢で体験する感覚との研究の進展が期待されている。

本研究の目的は, 夢日記法で収集された自閉症スペクトラム障害の青年の夢資料に出現した感覚と感情の特徴を分類することであった。夢資料提供者は,鮮明な夢を想起することを楽しんでいる,自閉症スペクトラム障害の大学4 年生であった。夢内容の質的分析の結果,想起された夢内容には,視覚や聴覚イメージの鮮明性のみならず,味覚,嗅覚などマイナーな感覚の体験が多く反映されていた。また,夢では肯定的感情の体験が多く,否定的感情の体験が少なかった。

今後の課題は,この予備的な研究をふまえ,自閉症スペクトラム障害の感覚異常のアセスメントと夢の特性の関連を児童期から青年期までの十分なデータで検証することである。

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© 2022 日本イメージ心理学会
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