2024 年 20 巻 1 号 p. 1-13
本研究では , ブラインドサッカープレーに関するイメージ生成様態について ,PAC 分析と質問紙法を組み合わ せた手法により , 後天全盲選手と先天全盲選手を比較して事例的知見と多面的示唆を提出することを目的とした 。 そのために , 調査対象者は , 性別 , 運動経験 , ブラインドサッカー競技開始時期 , 練習環境 , ポジションが共通す る後天全盲選手 1 名と先天全盲選手 1 名とした 。 結果として , 後天全盲選手は失明以前の視覚的てがかりを使って イメージ生成しようとして視覚記憶から得た情報を使いすぎていたため , 失明後に得た情報を使ったイメージ生成 の仕方を再構築させる指導が必要なのではないかと考えられた 。 それに対し , 先天全盲選手は反響や運動感覚を 使った自己概念枠によるストラテジーを使ってイメージを生成していた 。 先天全盲選手の視覚イメージ生成の困難 さには , 視覚課題の概念形成を促すような指導が勧められた 。 このように , 本研究の対象であった後天全盲選手と 先天全盲選手では , イメージ生成の情報源と生成方略 , イメージ生成指導ポイントが異なると示唆された 。