日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
Online ISSN : 2435-7952
症例報告
下咽頭と喉頭に生じた放線菌症の2例
伊藤 千尋戸嶋 一郎大脇 成広清水 猛史
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キーワード: 放線菌症, 下咽頭, 喉頭蓋
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2021 年 1 巻 1 号 p. 71-75

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抄録

放線菌症は,Actinomyces属により腫瘤性病変を形成する疾患である。症例1は74歳男性。2ヵ月前からの嗄声,1ヵ月前からの嚥下困難と咽頭痛を主訴に紹介受診した。喉頭内視鏡検査で,右梨状窩に潰瘍を伴う腫瘤を認め,造影CTでは下咽頭,頸部リンパ節,肺,副腎に造影効果を伴う腫瘤があり,PET-CTで同部にFDG集積を認めた。下咽頭病変の生検から放線菌症と診断した。関節リウマチに対し使用していたメトトレキサート内服を中止し,アンピシリン点滴を6週間行い全ての病変は消失した。その後アモキシシリン,続いてクリンダマイシンを10ヵ月間内服した。症例2は64歳男性。10日前からの咽頭痛と口臭を主訴に紹介受診した。喉頭蓋に白苔を伴う腫瘤を認め,生検で放線菌症と診断した。生検1週間後には喉頭蓋病変は自潰し,縮小した。アモキシシリンを3ヵ月間内服した。2症例とも再発なく経過している。

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© 2021 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
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