日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
Online ISSN : 2435-7952
総説
鼻腺腺房細胞における分泌応答の分子メカニズム
池田 勝久
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 1 巻 3 号 p. 117-122

詳細
抄録

パッチクランプ法と蛍光顕微鏡を使用して,哺乳類の鼻腺の腺房細胞のシグナル伝達メカニズムを解明した。アセチルコリン(ACh)は,細胞内Ca2+を上昇させることにより,ClチャネルとKチャネルの両方を間接的に活性化した。管腔膜のClチャネルを介したCl流出に起因するその後の膜脱分極は,基底外側Kチャネルのさらなる活性化およびK流出のために有利な電気化学的勾配をもたらす。KとCIの両イオンはNa-K ATPaseとNa-K-CIの共輸送によって媒介されて,細胞内に流入する。Na-K-CI共輸送は,おそらくCa2+/カルモジュリン依存性ミオシン軽鎖キナーゼによるリン酸化を伴うCa2+の増加によって直接活性化される。その結果として生じる管腔側の陰性化は,傍細胞経路を介してNaを管腔に流入させる。Clチャネルの活性化は,NaClが豊富な等張腺分泌物を生成する上で重要な役割を果たす。複数の薬品は,上記の細胞シグナル伝達経路によって媒介される刺激応答カップリングに影響を与える。

著者関連情報
© 2021 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
次の記事
feedback
Top