パッチクランプ法と蛍光顕微鏡を使用して,哺乳類の鼻腺の腺房細胞のシグナル伝達メカニズムを解明した。アセチルコリン(ACh)は,細胞内Ca2+を上昇させることにより,Cl-チャネルとK+チャネルの両方を間接的に活性化した。管腔膜のCl-チャネルを介したCl-流出に起因するその後の膜脱分極は,基底外側K+チャネルのさらなる活性化およびK+流出のために有利な電気化学的勾配をもたらす。K+とCI-の両イオンはNa+-K+ ATPaseとNa-K-CIの共輸送によって媒介されて,細胞内に流入する。Na-K-CI共輸送は,おそらくCa2+/カルモジュリン依存性ミオシン軽鎖キナーゼによるリン酸化を伴うCa2+の増加によって直接活性化される。その結果として生じる管腔側の陰性化は,傍細胞経路を介してNa+を管腔に流入させる。Clチャネルの活性化は,NaClが豊富な等張腺分泌物を生成する上で重要な役割を果たす。複数の薬品は,上記の細胞シグナル伝達経路によって媒介される刺激応答カップリングに影響を与える。