本邦ではスギ花粉とダニの2つの抗原に重複感作しているアレルギー性鼻炎症例は多く,両者に対する治療薬を併用した舌下免疫療法の報告が散見されている。今回,当科で施行している併用舌下免疫療法の内容,有害事象とそのマネジメントを報告する。2017年10月から2018年11月までに併用舌下免疫療法を開始した30症例を対象とした。スギ花粉治療薬はシダトレン®またはシダキュア®を,ダニ治療薬はアシテア®を用いた。初めに単独投与を4週間以上行い,続けて2剤の分割投与(朝晩)を4週間以上行い,その後に2剤を5分間あけて連続投与した。各段階で重篤な有害事象が認められないことを確認して次の投与方法に進むこととした。先行薬の選択はランダムではなく,主治医と患者との話し合いによって決定した。参加症例30例の内訳は男性18例女性12例,年齢は17~62歳(平均38.5歳),観察期間は3ヵ月~18ヵ月(中央値7ヵ月)であった。併用舌下免疫療法は30例のうち29例で可能であり,液剤の味が苦手で中止した症例が1例あった。2剤を併用できた29例のうち27例は連続投与で継続できたが,残りの2例は連続投与後に有害事象のため分割投与に戻して継続した。有害事象は60%の症例に認められ,分割投与や連続投与にかかわらずダニ治療薬で有意に多く,すべて軽微なものであった。結論として,併用舌下免疫療法は安全であり日常診療で認容し得るものであると考えられた。