今回,T細胞の分化に焦点を当て,無莢膜型インフルエンザ菌の外膜タンパク質(OMP)に対する加齢による上気道の粘膜免疫応答の変化を分析した。マウス(5週齢,6ヵ月齢,1年齢マウス)に,10 μgのOMPと1 μgのコレラトキシンを粘膜アジュバントとして週1回3回OMPを経鼻投与した。投与した後に中耳,鼻粘膜,鼻関連リンパ組織,頸部リンパ節,および脾臓から単核細胞を収集し,フローサイトメトリーによってT細胞の分化を分析した。対照は無免疫マウスとした。フローサイトメトリーによる単核細胞のリンパ球領域の分析は,CD3陽性T細胞がリンパ組織の加齢によって減少する傾向があることを示した。CD4陽性T細胞では,経鼻免疫後の5週齢マウスの上気道粘膜でメモリーおよびエフェクターT細胞比率が増加し,また,5週齢マウスのリンパ組織でエフェクターT細胞比率が増加した。上気道粘膜およびリンパ組織におけるOMPに対するT細胞免疫応答は加齢により減少する可能性があることが示唆された。