2022 年 2 巻 3 号 p. 115-118
【背景・目的】COVID-19の流行により,マスクの装用を含む様々な感染予防策が提唱され,生活様式にも変化が生じた。そこで,COVID-19流行の前後で耳鼻咽喉科における感染症の臨床像にどのような変化が生じているか,扁桃周囲膿瘍に着目し後方視的に検討した。
【対象】2018年から2020年に,北里大学メディカルセンター耳鼻咽喉科で扁桃周囲膿瘍と診断し加療を行った80例をCOVID-19流行前後に分け,患者背景や血液検査結果,排膿が得られ,細菌培養検査で菌の発育を認めた症例ではその菌種についても検討した。
【結果】当科外来の初診患者のなかで,扁桃周囲膿瘍と診断された患者の割合はCOVID-19流行前2年間は65例(3.1%)で,COVID-19流行後の2020年は15例(1.9%)だった。扁桃周囲膿瘍症例の患者背景や血液検査結果を比較したところ,白血球数と好中球分画がCOVID-19流行後で統計学的な有意差をもって低値を示したが,入院期間など他の項目には差を認めなかった。検出菌における好気性菌の割合がCOVID-19流行後に減少していた。
【結論】当科で治療を行った扁桃周囲膿瘍症例の臨床像は,COVID-19の流行前後で大きな変化を認めなかったが,培養検査の結果からはCOVID-19流行後では好気性菌による扁桃周囲膿瘍が減少している可能性が考えられた。