2022 年 2 巻 3 号 p. 109-114
はじめに:2022年4月現在まで,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による感染症は,本邦を含めて世界中で大きな問題となっている。耳鼻咽喉・頭頸部外科では,エアロゾルを発生する手技(Aerosol generating procedures: AGP)を行うことから,早期から注意喚起された。当科では,2020年4月から,SARS-CoV-2スクリーニングPCR検査を実施してきたので,その現状について報告する。
方法:2020年4月から2021年10月までの期間に東北大学病院 耳鼻咽喉・頭頸部外科でSARS-CoV-2スクリーニングPCR検査を実施した症例について調査を行った。
結果:当科でのスクリーニング検査対象者は,全1,123例で,検査の目的は,①手術症例が807例(71.9%),②手術以外で入院加療を行う症例が298例(26.5%),③受診時のスクリーニング問診票で医師が必要と判断した症例が15例(1.3%),その他が3例(0.3%)であった。上気道症状や発熱が見られた症例も含まれていたが,これらの症例を含めてスクリーニング検査は全例陰性だった。
考察:本邦や諸外国でのスクリーニング検査では,無症状陽性例の報告があり,注意すべき感染伝播の要因の一つとされている。今後は,無症状感染者の早期発見の為にもスクリーニング検査の実施法について引き続き検討していく必要があると考えられた。