日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
Online ISSN : 2435-7952
総説
アレルギー性鼻炎における鼻閉評価の実際
中村 陽祐藤原 和典
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2023 年 3 巻 2 号 p. 43-50

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抄録

アレルギー性鼻炎患者は世界的に増加傾向にあり,患者のQOLを大きく損なうことからアレルギー性鼻炎のマネージメントは社会的に重要な課題である。アレルギー性鼻炎において鼻閉は代表的な症状の1つで,鼻閉の有無は,QOLの低下に大きく関与する。本邦においても診療ガイドラインで,鼻閉評価を踏まえた上での治療決定が推奨されている。鼻閉の発現と鼻閉感は個人差が大きく,検査結果との乖離や,解剖,生理学的な影響を生じるなど,鼻閉の評価は難しい。アレルギー性鼻炎の重症度評価とともに,重症化の要因となる背景を追及することが大切である。鼻閉の評価法に着目すると,自覚的評価と客観的評価があり,客観的評価法については,現状では鼻腔通気度検査と音響鼻腔計測検査が用いられている。鼻腔通気度検査は,鼻腔通気性を鼻腔抵抗で評価する生理学的検査であり,音響鼻腔計測検査は,外鼻孔から任意の距離の鼻腔断面積を計測する形態学的検査である。一方,日常臨床においてCT検査は鼻副鼻腔の形態学的評価として広く用いられているが,鼻閉の評価法としては確立していない。つまり,現状では,治療方針を決定するための標準化された適応基準がない。本稿では,鼻閉に影響を及ぼす鼻腔構造や鼻腔の生理機能との関連性と,鼻閉評価の現状での位置付けについて述べる。

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© 2023 日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会
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