日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
Online ISSN : 2435-7952
原著論文
当科で診療した好酸球性中耳炎46例の検討
佐藤 雅未高畑 淳子野村 彩美工藤 玲子松下 大佑福岡 侑藤田 友晴糸賀 正道松原 篤
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2024 年 4 巻 1 号 p. 23-30

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抄録

好酸球性中耳炎(eosinophilic otitis media:EOM)は,好酸球浸潤が著明な中耳貯留液を特徴とする難治性中耳炎である。診断基準が策定されてから20年ほど経過したが,EOM治療の実態に関する報告は依然として少ないのが現状である。そこで,我々は近年5年間に当科を受診したEOM症例の患者背景や治療内容を検討した。

対象は,2017年1月1日から2022年11月1日の期間に当科で加療した46症例82耳で,37例が気管支喘息(bronchial asthma:BA)を,28例が慢性鼻副鼻腔炎(chronic rhinosinusitis:CRS)を合併していた。両者の合併例は26例におよび,いずれも合併しない症例は7例のみであった。治療については,抗ロイトコリエン薬とイブジラストに加えて第2世代抗ヒスタミン薬を追加した症例と,好酸球性鼻副鼻腔炎(eosinophilic chronic rhinosinusitis:ECRS)やBAに対する治療として生物学的製剤を導入した症例では,ほぼ全例で中耳炎重症度スコアの改善を認めた。EOMの治療において,デュピルマブをはじめとする生物学的製剤の使用は有効であり,EOMの局所治療と並行して全身的な治療介入が重要であることが示された。

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