加齢の進行に免疫老化が深く関与していることが明らかになってきた。また,蝸牛老化にも同様の機序が存在することが報告されるようになった。そこには,慢性炎症(chronic inflammation)と加齢(aging)とを合わせたInflamm-Aging(加齢性慢性炎症)という言葉や,さらに,酸化ストレス(oxidative stress)を加えたOxi-Inflamm-Aging(加齢性酸化慢性炎症)という新しい考え方が示されてきた。
本稿では,第4回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会学術講演会(2024年,大阪)にて筆者が行った会長講演の内容に沿い,免疫学的視点からの抗加齢に向けた基礎研究,特に免疫若返りによる加齢性難聴予防について紹介するとともに,臨床応用について考察する。