日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会誌
Online ISSN : 2435-7952
総説
アレルギー性鼻炎治療における選択肢と経皮吸収型製剤の位置付け
洲崎 勲夫
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2025 年 5 巻 3 号 p. 175-180

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抄録

本邦におけるアレルギー性鼻炎の有病率は増加傾向にあり,幅広い世代におけるスギ花粉症の増加と低年齢化が顕著である。アレルギー性鼻炎に対する薬物療法の選択肢として第2世代抗ヒスタミン薬が重要であるが,その治療満足度は決して高くないとされる。その一因に,患者個々が求める治療ニーズが多様化している可能性が推察される。エメダスチンフマル酸塩経皮吸収型製剤(アレサガ®テープ)は第2世代抗ヒスタミン薬であるエメダスチンフマル酸塩を有効成分とする唯一の経皮吸収型アレルギー性鼻炎治療剤であり,2018年に本邦で上市された。経皮吸収製剤の特徴として,経口製剤と比較して安定した血中濃度を維持することにより,夜間から早朝を含む全ての時間帯において薬効の持続性と服薬アドヒアランス遵守が期待できる特徴を持つ。スギ花粉症患者を対象としたエメダスチンフマル酸塩経皮吸収型製剤による治療効果,およびその満足度・使用感・副反応についての前向き観察研究では,スギ花粉症の治療薬として有用であり,薬剤使用指示を遵守し得る薬剤である可能性が示唆されている。また,スギ花粉の本格飛散前から使用した方が,より高い臨床効果と患者満足度が得られる可能性がある。経皮吸収製剤の特徴を把握した上で,同治療が適する患者像に対して,より十分な治療効果を得られるタイミングで治療法を提案することで,高い患者満足度が得られる可能性がある。

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