抄録
平成8年に中海南岸に新設された荒島堤防の一部区間は、基礎地盤に液状化の発生が懸念されていたため、地震時の堤体の変形抑止効果を期待して堤体底部にジオグリッドを敷設する耐震対策工法を採用した。この区間は4年後鳥取県西部地震に見舞われたが既往の被害事例にみられるような縦断亀裂や大きな天端沈下は見られず被害が軽微であった。本研究ではこの工法を用いた振動台実験を実施し、堤体の変形抑止効果を検証した。その結果ジオグリッドを敷設すると無対策のものと比較して堤体の沈下量、ストレッチング量等を抑制できることが確認できた。また、堤体に重大な被害をもたらす前兆である縦断亀裂は生じず、本工法の有効性が確認された。