抄録
泥炭地盤において盛土を施工する場合、盛土部の沈下に伴い周辺地盤で引き込み沈下を起こすことがある。引き込み沈下の抑制工法のひとつに、深層混合処理工法による壁状遮断施工がある。しかし、その設計では改良柱体の列数、ピッチ及び改良強度に明確な設計基準が無く、現場ごとに判断されているのが現状である。そこで、深層混合処理工法における改良柱体の合理的配置を求めることを目的に、遠心模型実験を実施した。その結果、無処理地盤のケースでは引き込み沈下が生じているのに対して、改良したケースでは鉛直方向と水平方向のいずれの変位も抑止されて、沈下が遮断されていることが明らかとなった。また、引き込み沈下の検討から、盛土厚10cm(実物換算10m)の範囲内では改良列数を3列以上にすると、引き込み沈下の低下にほとんど効果の差が無いことが確認できた。盛土中央の沈下量に対する周辺地盤の沈下量の比と改良列数には相関関係があり、これを利用して引き込み沈下量を予測できる。