抄録
2003年に発生した三陸南地震では,東北新幹線(岩手県石鳥谷地区)猪鼻高架橋などの柱において,せん断破壊などの被害が発生した.これらの被災箇所では,地中部においても同レベルの地震動が入力されるため,基礎構造物が上部工と同様に損傷を受けている可能性があった.そこで,地震発生後に橋脚被害箇所の杭頭部を掘削し,地中部の杭損傷状況を目視調査した.その結果,杭は健全であることを確認した.また,当該箇所の非線形骨組解析による被害検証シミュレーションを実施し,地盤と基礎の相互作用の観点から考察を行なった.