耳鼻と臨床
Online ISSN : 2185-1034
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原著
両側高度前庭機能低下症例に対する臨床的検討
櫻井 千恵久保 和彦中川 尚志大庭 典子小宗 静男
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2010 年 56 巻 2 号 p. 47-53

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抄録

1994 年 1 月から2003 年 12 月までに九州大学病院耳鼻咽喉科にて温度眼振検査を施行した 1,496 例のうち、両側とも severe もしくは complete CP と診断された 55 例について、めまいの自覚の有無、聴力、重心動揺計、ETT、VEMP の五つのパラメータを用いて、原因疾患別の特徴を検討した。ETT がsaccadic である症例のうち聴力低下が軽度で、重心動揺計にて動揺の強いものが中枢性、自覚症状が継続しており、聴力低下が中等度であるものが薬剤性であった。ETT がsmooth である症例のうち、Romberg 率が高く、VEMP の反応が低下しているのが内耳性、Romberg 率は高いが VEMP の反応が保たれているのがその他の疾患群であった。本検討から、さまざまな平衡機能検査のうち、この五つの検査を行うことである程度原因疾患を推測することが可能であると考えられた。

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© 2010 耳鼻と臨床会
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