抄録
披裂軟骨脱臼は喉頭外傷後や気管挿管の合併症として報告されている。今回、全身麻酔手術後に披裂軟骨脱臼を来し、整復術施行後に脱臼が再燃した症例を経験した。症例は 42 歳、男性。全身麻酔下大動脈置換術施行後より嗄声が出現し当科を受診した。喉頭ファイバースコープ検査で左声帯の可動性制限と声門閉鎖不全を認めた。手術による左反回神経麻痺の診断で経過観察したが麻痺は改善しなかった。11 カ月後に 3D-CT 検査を行った結果、左披裂軟骨脱臼が疑われ、喉頭筋電図結果からも反回神経麻痺は否定された。左披裂軟骨前方脱臼の診断で直達喉頭鏡下左披裂軟骨脱臼整復術を施行した。整復術後は音声の改善を認めたが、整復 3 週後には再び音声の悪化が確認された。左声帯は偏位し声門閉鎖不全を生じ披裂軟骨の再脱臼が考えられ、再整復は困難と判断し披裂軟骨内転術+甲状軟骨形成術 I 型を施行した。手術後、音声は改善した。発症から治療までに時間がかかった場合、観血的手術が有効な場合がある。