2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S37-S44
高機能ハイスピードカメラを使用して、音刺激によって動くアブミ骨振動を撮像し、その動きをスロー解析した。アブミ骨振動は、刺激音の周波数に一致した高速の上下運動であることが証明された。その振幅は音圧に依存しており、音圧低下によって振幅も小さくなることが分かった。さらに鼓膜穿孔モデルでは、アブミ骨振動の振幅が著しく障害されることが分かった。加えて、アブミ骨振動を可視化したことで、運動停止の際の動態が明らかになってきた。周波数の異なる減衰運動を経て停止しており、アブミ骨が持つ固有の物性をとらえている可能性があり、今後この減衰運動を解析していくことで、アブミ骨可動性の評価が期待できると考えた。