耳鼻と臨床
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57 巻, Suppl.1 号
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第112回日本耳鼻咽喉科学会総会 宿題報告
医工連携による超精密側頭骨外科の開発
I. 次世代の耳科診断学構築
総論
アブミ骨可動性の客観的評価
II. 次世代の側頭骨外科手術の開発
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S47
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S49-S63
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    側頭骨領域において低侵襲、高精度の位置合わせ (レジストレーション) を達成できる手法を開発した。CT データを編集して位置合わせ用のマーカーを疑似的に打ち込み、その CT データから側頭骨表面の鋳型となる模型を作製した。鋳型につけたマーカー部位を手術中に患者側頭骨面に転写しレジストレーションを完了した。患者が行う術前処置は皆無で、CT 再撮影も不要な本手法は元々低侵襲な耳科手術でも使用でき、かつ従来の手法に匹敵する精度であった。この手法によりルーチンの耳科手術で安全装置としてナビゲーションを使用することも可能になった。
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S65-S71
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    われわれが開発した STAMP 法は、ほぼ無侵襲の状態から側頭骨浅部で高精度を維持できるナビゲーション下側頭骨手術を可能とした。そこで定型的な側頭骨浅部手術として人工内耳埋込術、聴神経腫瘍摘出術、側頭骨部分切除術を選び、実手術において STAMP 法の有用性の検討を試みた。いずれの手術でも比較的良好な精度を得ることができたが、とりわけ低侵襲が求められる小児人工内耳症例では有用であった。また、それほど困難を予想していない手術であっても、低侵襲ゆえルーチンに近い形でナビゲーション手術の準備をすることができた。困難を予想した症例を選んで行うナビゲーション手術ではなく、予想できなかった困難に遭遇した際にも役立つよう、安全装置としてルーチンにナビゲーション手術の準備を行うことが STAMP 法であれば可能と考えられた。
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S73-S76
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    コンパクトな画像重畳ナビゲーションシステムを開発し、日常外来診療での応用を検討した。CT データから側頭骨表面および側頭骨内臓器の 3D 画像を作製し、外来診療室で用いている外部モニター出力付き顕微鏡から出力された映像に画像重畳する実験を行った。モニターに映し出された側頭骨模型に対して高精度に臓器の 3D 画像を重ね合わせることができた。また、視野の移動に対して 3D 画像も追従して重畳することが可能であった。専門的知識を持たずとも分かりやすい画像表示ができることで外来での医師・患者の情報共有や説明に有用であると考えられた。
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S77-S89
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    6自由度をもつ側頭骨手術ロボットを作製し、全自動での乳突削開を行った。CT データに基づいた高精度の側頭骨模型を用いることで、あらかじめ術者のドリルの先端位置と傾きの記録をとって解析することで、最適なドリル削開軌跡を作製した。画像の座標系と模型およびロボットの座標系のレジストレーションを行い、術者の乳突削開をロボットに再現させた。ファントム実験においてロボットは再現性の高い乳突削開を行うことができた。今後はさらに機械的な精度を上げ、より再現性の高い手術ができるように改善していくことが課題である。また、ロボットだけでの手術のみではなく、手ぶれ補正や臓器損傷の警告といった術者の補助としても機能できるように改良し、より複雑な手術での応用ができるようにしたい。
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S91-S92
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
III. 次世代の耳科医育成
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S95-S96
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S97-S101
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    パーソナルコンピュータ上で三次元再構築可能な Digital Imaging and Communication in Medicine (DICOM) ビューワーソフトを用い、医師が二次元の CT 画像から三次元イメージを想像することがどの程度正確にできているかを検討した。被験者となった医師に三次元再構築された CT 画像上の点を示し、それが水平断面図のどの部位であるかを指し示してもらい、「正解」の座標との誤差を計測した。誤差は医師により、また点により大きくばらついたがおおむね専門領域に関係する点でのみ正確であった。医師は二次元 - 三次元を対応させるときは主に専門領域の解剖知識に基づいており、一般的な二次元 - 三次元の対応に関しては非常に大雑把な能力しか持ち合わせていないことが示唆された。
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S103-S108
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    手術用ドリル先端の軌跡情報を用いた手術技術の評価を試みた。対象は側頭骨手術に習熟した耳鼻咽喉科専門医1名と側頭骨手術の執刀経験のない耳鼻咽喉科レジデント1名である。健常者の側頭骨 CT から作製した同一模型に乳突削開術を施行した。模型および手術用ドリルに赤外線マーカーを取り付けてドリル先端の軌跡情報を取得し、ナビゲーション用ソフトウエアに読み込んでCT上での座標に変換した。軌跡データおよび側頭骨内の重要臓器に最も接近した距離を集計し比較した。専門医とレジデントで削開時間に大きな差はなかった。専門医は重要臓器に対して最接近部2mm前後と一定の距離を保っているのに対してレジデントはかなり菲薄し、一部は目標を損傷した。また、専門医の軌跡はほぼ一定の振れ幅で目標に接近していくのに対してレジデントでは大きくばらつきがあり、削開後半になる程それが顕著であった。ドリル先端の軌跡情報の特徴から技術差が定量化できると考えられた。今後、より多くの被験者での検討によって評価を定量化することで、客観的技術評価につながる可能性が示唆された。
IV. 医工連携より生まれたその他の研究
内リンパ水腫の客観的評価(Multifrequency tympanometry(MFT) による内耳の客観的評価)
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S111-S115
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S117-S121
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    近年、メニエール病患者では multifrequency tympanometry (MFT) の音響コンダクタンス (G) ピーク幅が増大するとの報告が散見する。この根拠となる動物実験の報告が一報のみあるが、以降この実験に対する検証や関連報告などがなされていない。今回、内耳圧測定下に髄液圧を介した内耳圧上昇を行い、その条件下で音響コンダクタンス (G) がどのように変化するか、モルモットを用いた動物実験を行った。その結果、コントロールでは単峰性であった音響コンダクタンス (G) のピーク数が、圧の上昇に伴って増えていく傾向を示した。先行論文で示された二峰性の変化も再現され、音響コンダクタンス (G) が内耳圧の変化に直接影響を受けることが明らかとなった。MFT はメニエール病など内リンパ圧の変化を伴う疾病の診断に簡便かつ有用な検査となり得ることが示された。
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S123-S128
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    Multifrequency tympanometry (MFT) の音響コンダクタンス (G) 幅は内耳圧を反映し、圧の上昇により幅が増大するが、そのメカニズムは不明である。今回、蝸牛有毛細胞のイオン電流変化による共振周波数の変化が原因の一つと推定し実験を行った。有毛細胞では細胞興奮により細胞膜電位が振動 (oscillation) するが、その共振周波数にはK電流が大きく関与するため、K電流の圧負荷による変化を観察した。パッチクランプ法のホールセルモードにて内有毛細胞のK電流を測定し、電極に陰圧を加え内リンパ水腫の状態を模倣すると、K電流は増大した。逆に陽圧を加えるとK電流値の低下を認めた。これらの変化は可逆性であった。K電流の変化がMFTのG幅に変化をもたらすメカニズムについて考察した。
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S129-S136
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    Multifrequency tympanometry (MFT) は測定に使用する音波の周波数を変化させて鼓膜のインピーダンスを測定することができる。Franco-Vidal はMFTを使いG幅 (2,000Hz の周波数でコンダクタンスを測定した際に得られる波形の二峰性のピークの幅) を測定することがメニエール病の診断に有用と報告している。今回われわれは同様なトライアルを行い、G幅の日本人におけるメニエール病のカットオフ値を検証した。メニエール病間欠期の患者においてG幅は有意に増加していた。発作期患側の分布はコントロールと間欠期患側の中間の分布となった。特異度を95%程度を基準として設定するカットオフ値は210dPaが適当と考えられ、感度34.5%、特異度96.8%となった。MFTを用いたG幅の測定は、旧来の内リンパ水腫推定検査とほぼ同程度の精度を持ちつつ、簡便かつ非侵襲的でありメニエール病診断に非常に有用であることが示唆された。
  • 小宗 静男
    2011 年 57 巻 Suppl.1 号 p. S137-S140
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    めまい・ふらつきを主訴とする患者は多いが、疾患特異的な検査法が存在しないため明確な診断が得られないことが多い。最近われわれは、multifrequency tympanometry (MFT) で得られるG幅がメニエール病診断に有用なことを見いだした。そこで今回は、種々のめまい患者について、MFTの有用性を検討した。2008年2月から8月までに千鳥橋病院耳鼻咽喉科を受診した耳・めまい患者136例165耳を対象とした。異常高値 (G幅 > 210daPa) を示したのは、メニエール病 32.3%、BPPV 0%、耳性めまい 11.1%、起立性調節障害 0%、突発性難聴 10.3%、急性低音障害型感音難聴 (ALHL) 30.8%、機能性難聴 0%であった。以上の結果から、ALHLも内リンパ水腫疾患である可能性があること、耳性疾患のみで陽性となることが示唆された。MFTは侵襲性はなくかつ簡便で、医師の直接の介入を必要としない有用な検査法といえる。
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