Multifrequency tympanometry (MFT) は測定に使用する音波の周波数を変化させて鼓膜のインピーダンスを測定することができる。Franco-Vidal はMFTを使いG幅 (2,000Hz の周波数でコンダクタンスを測定した際に得られる波形の二峰性のピークの幅) を測定することがメニエール病の診断に有用と報告している。今回われわれは同様なトライアルを行い、G幅の日本人におけるメニエール病のカットオフ値を検証した。メニエール病間欠期の患者においてG幅は有意に増加していた。発作期患側の分布はコントロールと間欠期患側の中間の分布となった。特異度を95%程度を基準として設定するカットオフ値は210dPaが適当と考えられ、感度34.5%、特異度96.8%となった。MFTを用いたG幅の測定は、旧来の内リンパ水腫推定検査とほぼ同程度の精度を持ちつつ、簡便かつ非侵襲的でありメニエール病診断に非常に有用であることが示唆された。
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