耳鼻と臨床
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原著
当院補聴器外来における補聴器装用にかかわる要因についての検討
伊藤 恵子千年 紘子藤田 侑希松田 朱加鮫島 靖浩
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2012 年 58 巻 1 号 p. 1-11

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抄録
2009 年 1 月から 2010 年 9 月までに当院補聴器外来を受診した難聴者 50 例につき、補聴器装用にかかわる要因の解明と装用前後の主観的評価、装用に至った症例における満足度とその推移について検討を行った。装用に至った症例は 34 例で、装用例では装用耳裸耳聴力レベルが有意に高く、身体障害認定をされている割合が有意に高かった。装用前後における主観的評価では、1 対1 の聞き取り、電子レンジの音の聞き取りは、装用後に聞き取れた割合が 80%以上であったのに対し、4 - 5 人の集まりでの会話は 36%であった。満足度の推移を追跡し得た23 例につき、装用 1 ヵ月後と 3 ヵ月後の満足度を回答してもらったところ、ともに中央値は 80 点であった。今後高齢化社会が進み、補聴器のニーズが増加することが予想され、障害の受容、補聴器のフィッティング、補聴器適合検査、装用後の聴覚管理、装用指導などは、耳鼻咽喉科医、言語聴覚士、認定補聴器技能者の連携が必須であると考える。
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© 2012 耳鼻と臨床会
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