耳鼻と臨床
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原著
嚥下機能改善手術としての声帯内方移動術の手術成績
山野 貴史宮城 司道市川 大輔梅崎 俊郎中川 尚志
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2012 年 58 巻 5 号 p. 221-226

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抄録

一側性声帯麻痺に対する声帯内方移動術は音声の改善が主な目的である。一方、嚥下障害を伴う症例に対しても声門閉鎖の強化により喀出力の上昇が促されるなど嚥下機能も改善される。当科において声帯内方移動術を行った症例のうち、術前に嚥下困難の自覚のあった症例について術前後の嚥下機能の評価を行った。声帯内方移動術は低侵襲であり、術後合併症の頻度も少なく、有効性が高いためで、誤嚥を伴う症例で検討するべき術式であると考えた。しかし、多発性下位脳神経障害や咽頭筋収縮の障害を伴う症例は、声門閉鎖のみ強化しても嚥下圧が改善しない。このため、喉頭挙上術や輪状咽頭筋切断など他の術式の追加を検討すべきであると思われた。

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© 2012 耳鼻と臨床会
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