耳鼻と臨床
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原著
急性咽頭炎を合併した小児重症急性鼻副鼻腔炎に対する clavulanic acid/amoxicillin (1 : 14) の有用性
冨山 道夫
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2012 年 58 巻 5 号 p. 208-218

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抄録

急性咽頭炎を合併し急性鼻副鼻腔炎診療ガイドラインで重症と判定された小児急性鼻副鼻腔炎症例 642 名に対して、clavulanic acid/amoxicillin (1 : 14) (CVA/AMPC〔1 : 14〕) を 5 日間投与し有用性を検討した。有効率は 67%であった。臨床効果を 3 歳未満と 3 歳以上で比較すると、3 歳未満 57%、3 歳以上 73%と 3 歳以上は有意に有効率が高かった。細菌学的検討では、粘膿性鼻汁より 1,050 株検出され、S.pneumoniae 286 株 (27%)、H.influenzae 501 株 (48%) とこれらの 2 菌種で 75%を占めた。CVA/AMPC (1 : 14) の MIC90S.pneumoniae 1 μg/ml、H.influenzae 16μg/ml であり、S.pneumoniae 単独検出例は H.influenzae 単独検出例より有意に高い有効率を示した。副作用では下痢を 34%認めた。CVA/AMPC (1 : 14) 無効の penicillin resistant S.pneumoniae (PRSP) 検出例もみられ、今後 PRSP を含むS.pneumoniae の薬剤感受性の推移を注意深く経過観察する必要がある。

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© 2012 耳鼻と臨床会
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