耳鼻と臨床
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原著
誤嚥防止術後の咽頭狭窄を解除し発声が可能となったボイスプロテーシス挿入患者
福原 隆宏片岡 英幸三宅 成智北野 博也
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2012 年 58 巻 5 号 p. 237-240

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抄録

ボイスプロテーシスによるシャント発声は、習得が容易で、自然な発声が得られるという利点があるが、ボイスプロテーシスを挿入されても発声ができない患者がいる。その原因が咽頭の狭窄にある場合は、狭窄を解消する追加手術が必要となる。このたびわれわれが経験した症例は、誤嚥防止術後にボイスプロテーシスを挿入されたが、発声が困難となっていた。その原因は、喉頭閉鎖術後に残存した輪状軟骨板がボイスプロテーシス挿入部直上にあり、咽頭の狭窄を起こしていたからと考えられた。そのため、輪状軟骨板と甲状軟骨の下角を摘出する手術を施行し、狭窄を解除した。結果、大変良好な発声が得られた。誤嚥防止手術において喉頭閉鎖術を行う場合は、その後のボイスプロテーシス挿入の可能性が考慮される症例は、術中に喉頭の軟骨を摘出し、術後の狭窄防止を行うのがよいと思われる。そして、術後に狭窄が明らかになった症例は、狭窄解除により大変良好な発声が得られることも示唆された。

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© 2012 耳鼻と臨床会
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