耳鼻と臨床
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ISSN-L : 0447-7227
原著
中咽頭扁平上皮癌組織からのヒト乳頭腫ウイルス (HPV) 検出法に関する検討
- PCR法、in situ Hybridization 法、p16 免疫組織化学的手法による比較 -
油井 健宏加藤 久幸岡田 達佳櫻井 一生山本 直樹内藤 健晴
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2012 年 58 巻 6 号 p. 255-260

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抄録
HPV 関連中咽頭癌は HPV 非関連癌に比べ、化学療法や放射線療法に高感受性で予後良好である。今後、HPV の検出が中咽頭癌の治療効果予測や治療方針決定に対する有用なバイオマーカーとなり得る。今回、68 例の未治療中咽頭癌のホルマリン固定パラフィン包埋ブロックからの最適な HPV 検出法とその手順の探索を行った。方法はリアルタイム PCR 法でハイリスク型 HPV の 7 亜型の検出、In situ hybridization 法 (ISH) で HPV 16/18 DNA の検出、免疫組織化学検査で p16 の発現を検討した。HPV 陽性率はPCR、ISH、p16 で各 37、32、44%、PCR で HPV 陽性 28 例の内訳は、16 型が 26 例 (93%)、56 型 1 例 ( 4%)、58 型 1 例 ( 4%) であった。3 種類の検出法のうち 2 種以上が陽性のものを真の HPV 陽性と仮定すると、感度と特異度は PCR (92%、93%)、ISH (92%、100%)、p16 (100%、86%)で、陽性的中率と陰性的中率は PCR (88%、95%)、ISH (100%、96%)、p16 (80%、100%) であった。HPV 検出法として、まず p16 でスクリーニングを行い、p16 陽性例に対し ISH で確定診断する方法が至適と考えられた。
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© 2012 耳鼻と臨床会
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