2012 年 58 巻 Suppl.1 号 p. S76-S80
進行中咽頭癌に対する治療として従来、手術、術後照射が行われてきたが、近年は臓器温存を目的として化学放射線療法が頻用されつつある。しかし、化学放射線療法による急性期、晩期の有害事象により癌が治癒しても quality of life が大きく損なわれる場合が少なくない。近年、HPV 陽性の中咽頭癌が急増しつつあるが、HPV 陽性中咽頭癌は HPV陰性中咽頭癌と比べて、放射線感受性が高く、非常に予後が良好なことが知られている。予後を悪化させることなく、治療の後遺症を軽減させることを目的として、HPV 陽性中咽頭癌を対象とした低侵襲治療の臨床試験が行われている。